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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

110号 「石膏型」という話
2008/07/12発行
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瀬戸市内の古い陶器工場。たくさんの石膏型が置いてあります。

 先日、当店も加盟している組合(瀬戸陶磁器卸商業組合)から会報が届きました。「せともの祭の準備始まる」の見出しです。
 今年は9月13日14日の土日に行なわれます。祭の中心になる廉売市は瀬戸川右岸を中心に開催されるようです。もうすぐ子どもたちは夏休みに入り、長い休みが明ければすぐ「せともの祭」となります。9月と言うとまだまだ先のようですが、気がつくとすぐ‥‥というのが毎年のように感じます。
その会報の中にもあったのが、陶磁器関連の価格変更の話題です。

 最近はガソリンの値上がりから始まり、食料品やいろいろな生活用品の値上がりには全く困ったものです。
 原油価格の高騰は石油製品の値上がりに留まりません。ガソリンが高くなれば輸送コストにそのまま反映され、結局はすべてのものが値上がりします。せともの作りにおいてもその点では変わりません。
 窯の燃料代の高騰はここ数年来続いています。現在はガス窯が主流ですので、ガス代の高騰と言うことです。瀬戸の窯元さんからも値上げをお願いされることの多い最近です。比較的付加価値の高い陶芸作家制作の品物でも同様です。一般向けの量産食器メーカーさんはさらに厳しい状況にあることは想像できます。

 今月7日付の地元新聞「とうめい」(瀬戸市と尾張旭市、長久手町をエリアとする日刊新聞)に「石こう価格高騰で型組合悲鳴」の記事がありました。
 陶器づくりと言うとなんとなく一般的には「ロクロを回して形を作って‥‥」というイメージかもしれません。しかし、実際その多くは石膏型に泥状の粘土を流し込んで形成する「鋳込み」の製法で作られています。もともと瀬戸はその鋳込みの技術の高い産地です。以前「瀬戸だより」でも取り上げたノベルティの置物などは石膏型と鋳込み技術の最たるものと言えます。

 陶器造りの現場では石膏を扱えるのは当たり前のこと。私が陶器の勉強を始めた頃、知り合った作家さんが「何や、石膏のとき方も知らんのか」と言われたことを今もよく思い出します。
その時教えていただいたおかげで、多少は石膏を使えるようになりました。

 今も陶器造りに欠かせない石膏型を作るメーカーが数多く瀬戸にはあります(上記とうめい新聞の記事によれば瀬戸石膏型協同組合には29社)。
 記事によると、石こう価格が8月から25%値上げされる(一昨年にも40%の値上げがあった)ためにやむを得ず石膏型も15%の値上げされると言うことです。
 たとえば一つの形の皿であっても、実際の陶器工場でそれを鋳込みで作るには数多くの型が必要になってきます。流し込まれた泥状の粘土が水分を石膏型に吸収される際に型に沿って形ができてきます。余分な粘土を型から外に流しだしたのち、粘土分のある程度の乾燥を待ち型から外します。ある程度使った型は乾燥も必要になります。モノの形は一つであっても量産するには多くの型が必要になりますね。
 この型の原料になる石こう、農業用の窒素肥料の生産時に副産物として生産されるものだということです。肥料の生産が中国など海外に移っていき、国内での生産が縮小されて行ったのも値上がりの原因と指摘されています(同記事より)。

 今後、陶磁器も値上げが行なわれることが増えていくでしょう(瀬戸以外の産地も同様です)。何卒、ご理解いただきたいと思います。

 石膏型の話題では瀬戸石膏型協同組合が瀬戸市・瀬戸蔵ミュージアムで「石膏型の技と魅力 瀬戸石膏型協同組合展」を9月28日まで行なっています。普段なかなか一般の方が目にする事のない石膏型。そんな「縁の下の力持ち」的な技術を見るめずらしい機会と思います。

 瀬戸の町を天気のいい日に歩くと、今も真っ白な石膏型を乾燥のため天日干しにしている光景をよく見ます。モロ板に並べられ日光に輝く石膏型は瀬戸ならではの風景と言えますね。

2008/07/12


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