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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

077号 「窯垣の小径という小径」という話
2007/11/24発行
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窯垣。窯で使った棚板とツク(柱)の組み合せが魅力的。

 瀬戸もずいぶん秋が深まってきた感じのする今日この頃。岩屋堂公園でももみじまつりが開かれています。山全体が燃えるように赤くなるというのも美しいですが、瀬戸周辺の山々のように雑木林がモザイクのように色とりどりに色付くのもいいものです。私はこちらの方が好みです。

 瀬戸の街中から瀬戸川沿って東に進み、瀬戸公園前で右折すれば洞、かつては登り窯が多くあった地区です。そこに最近観光地として人気もある「窯垣の小径」があります。
 瀬戸のガイドブック・観光案内などでも必ず紹介されています。古くからの町並みが残っていて、その家々の塀や垣根、花壇や階段などいろいろなところに窯で使われた棚板(窯の中で製品を乗せて焼いた板)やツク(棚板を重ねるための柱)、エンゴロウ(製品一つ一つをいれて焼成するサヤ)を使っています。これを窯垣と呼んでいます。なんともいえない風情を感じさせてくれます。


これはエンゴロウ(さや)

 瀬戸という陶器産地は陶磁器作りに向いた良質の土を産出しただけでなく、窯道具を作ったりするのに向いた土も多く産出できたようです。他の産地ではここまで贅沢に窯道具を使っていなかったと聞いた事があります。
 窯道具として使われたツクやエンゴロウなどは何度も繰り返し登り窯で使用され(一回で使い捨てということはありません)、自然に灰をかぶりとてもいい色に焼き締まっています。そして不用になったこの窯道具をただ捨てるのではなく、家の周りの建築材料として再利用したのが窯垣です。再利用といっても、窯垣はただブロックのように積み重ねていくだけでなく、いろいろな形のものを組み合わせてみたり、重ね方を工夫したりと非常に個性的な模様をつくりだしています。昔の陶工たちのセンスのよさというのが感じられます。自分たちの製品を焼成するために使った窯道具たちへの愛情というのもあったのでしょう。


これは窯道具ではなく「鬼板」ですね。
鉄の顔料として使います。

 幾何学的な模様にも見えてくるこの窯垣、よく見ると窯垣に使われている窯道具の一つ一つに印が入っているいるのに気づきます。この印はそれぞれの窯屋ごとに決めていた印です。かつての登り窯は巨大で何件もの窯屋が共同で使用していました。その際に窯道具が紛失しないように印を付けて管理していました。その印が窯垣の小径でもたくさん見ることができます。


「ツク」で花壇が出来ていました。
よく見ると窯印がはいっていますね。

 窯垣の小径に沿って歩いていくと、ギャラリーがあり資料館があります。この窯垣の小径資料館はかつての窯元の邸宅・寺田邸を改修したもの。この地区で明治大正期に作られていた本業タイル(陶製で模様も素敵なものです)の使われた浴室や染付の美しいトイレなど見所はたくさんあります。地元のボランティアの皆さんが(多くはおじいちゃんおばぁちゃん)いらっしゃいますので、いろいろなお話も聞けますよ。
 さらに小径沿いを進めば洞本業窯(登り窯が保存されています)までのんびりと歩いていけます。

■瀬戸だより040「贅沢なトイレ」という話

 窯垣の小径を歩いているとついつい足元や塀ばかりに目がいきますが、上を見上げるとたくさんの大木に囲まれている事に気づきます。ムクノキが多く植えられています。これはムクノキは天秤棒やいろいろな道具作りに使われる硬い木です。古い窯跡の近くにはムクノキが生えていることが多いとも聞きます。ムクノキの天秤を担ぎ昔の陶工たちはこの窯垣の小径を行き来したのでしょう。


これがムクノキ。大木ですね。

 瀬戸を観光で訪れる方には絶対お薦めの場所です。愛知県瀬戸市仲洞町。駐車場は無料(9時〜15時)資料館は水曜休み。

2007/11/24


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