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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

073号 「モロ板を担ぐ」という話
2007/10/27発行
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窯屋を模したレストランにて。
実際の窯元でも頭の上を見るとこんな感じかな。

 ずいぶん秋が深まってきた感じの今日この頃。もう11月もすぐそこです。

 せともの作りではいろいろな作業行程があります。粘土を練る、ロクロをひく、乾燥させる、絵付けなど装飾する、釉薬を掛ける、窯につめる、そして焼成。ざっとこんな感じでしょうか。

 そのロクロをひく(形成)段階から窯づめまで、せともの(未だ完成品じゃないので「せとものの赤ちゃん」みたいなものかな)は「モロ板」と呼ばれる板の上に乗せられて職人さんの間を行き来します。近代的な工場で見かけるベルトコンベア的なイメージでしょうか。

 別に特別な工夫をされた板というものではなく幅30センチ程度、長さはその仕事場の広さにもよると思いますがだいたい人の背丈くらいでしょうか(もっと長いものもあります)‥‥まぁただの木の板です。「モロ」というのは、瀬戸の昔からの言葉で「陶房・作業場」を意味しています。窯元の作業場の中で使う板ということですね。

 このモロ板、作業過程での製品の移動だけでなく形成を済ませて素地のまま保管されるときにはのせたまま、作業場の天井あたりに差し込まれたりします。窯元に見学の時など、作業している職人さんたちの上にたくさんのモロ板があり、その上に未完成の陶器が並んでいるのを見た方もいると思います。また、製品を乾燥させるためにモロ板にのせて屋外に置かれているのも瀬戸ではよく見かけます。形成過程の物は日陰に、渋抜きした織部や石膏型などは日の当たる場所に置かれます。

 職人さんたちはこの半製品ののったモロ板を肩に担いで移動します。とても簡単そうに担いでいるように見えます。でもこれがやってみるとものすごくたいへんです。肩に担ぎ上げるまでにバランスを崩すと上にのっているものは落ちてしまいます。うまく担いだとして、歩く時に振動が大きければ上のせとものは跳ねて落ちてしまいます。こんなところにも職人さんの「熟練」が見えてきますね。
窯元の職人さんたちが簡単にモロ板を肩にのせ、作業場の中を行き来する姿は正直「かっこいい」と思います。

 モロ板自体は先に書いたように単純な板です。そう簡単に痛むような物でもありません。ですから古い窯元では古いモロ板を使い続けているのを見かけることがあります。板の色の感じから、いったいいつから使っているのかはわかりませんが、とにかく古いことだけはわかります。そんな板をよく見るとその窯屋の窯印の焼き印がしてあるものもあります。昔の登り窯は共同で使用することが多かったので、当時の窯道具には窯屋ごとの印を入れてあることがよくあります。作業場から窯まではモロ板にのせて運んでいたので、モロ板にも窯印が必要だったのでしょうね。

2007/10/27


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