瀬戸だより 071 of せとものの話をしませんか〜加藤兆之助商店〜

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 瀬戸だより ~せとものについて話しませんか~

071号 「歴史のなぞ?‥‥瀬戸山離散」という話

2007/10/13発行



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瀬戸から美濃方面(多治見)に抜ける国道248号。
瀬戸山離散の陶工たちもこの峠を越えていったのでしょう。

 瀬戸は日本の陶器の産地として古い歴史を持っています。奈良時代には猿投周辺で須恵器が多く生産され、そして施釉された陶器が日本で作られ始めたのもこの土地‥‥。1000年以上にわたって絶えることなく第一線で生産を続けてきた産地というのはなかなか他にはありません。ただ、その瀬戸の歴史の中で瀬戸で陶器が作られなかった空白の時期があります。

 室町時代の末期(16世紀後半)、戦乱の続く時代に瀬戸で窯を焼き続けてきた陶工たちが急に瀬戸の土地を捨て、美濃などに移っていきました。そして、瀬戸での陶器の生産は極端に減りました。この陶工たちの移動を「瀬戸山離散」と呼んでいます。
 日本の陶芸のひとつのピーク、桃山時代の陶器で瀬戸で焼かれたものはあまりありません。

 いったいなぜ「瀬戸山離散」は起きたのでしょうか?
説はいろいろとあります。
 当時の窯を焼く燃料は松を中心にした山の木。窯が大きくなってきた時代です。瀬戸の山の松を使いつくしたか、原料の土を掘りつくした(その後、山が回復して、新しい採土する場所が開発されて瀬戸に陶工たちが戻ることができた )という説。
 戦乱の世に(瀬戸周辺にも古戦場は多い)戦火を避けるために瀬戸を捨て山を越えて行ったという説。戦乱の中では落ち着いて生産も販売も出来ません。
 この戦火を避けるためという説は以前から定説のようになっていました。しかし最近は泣く泣く瀬戸を捨て移動して行ったというよりも、全国へ製品を流通させるのにより有利な土地を求めて積極的に瀬戸から美濃に移動していったという説をとることが多いようです。そういえば、現代でも美濃あたりには輸送会社の流通センターなどが多いですね。当時の陶工たち、意外と商売上手だったのかもしれません。

 17世紀にはいると、瀬戸山離散で瀬戸を離れていた陶工たちが瀬戸にふたたび戻ってきます。「竈屋呼び戻し」といわれる尾張徳川家による瀬戸への陶工の呼び戻しが行なわれています。
 ちょうど時代は清洲にあったお城を現在の名古屋城に移した頃です。名古屋城とともに城下町もつくられ、名古屋という都市が形成されていきます。その新しく巨大な都市で使う大量の陶器を供給するため、名古屋に近い瀬戸での陶器の生産を復活させる必要があったということです。その後は尾張藩の保護もあり、ふたたび瀬戸は発展を続けていきます。

 「瀬戸山離散」という歴史の出来事は、以前は「しかたなく瀬戸を捨てて出て行かなくてはならなかった」というマイナスのイメージで捉えられていました。実際はいろいろな要素はあるのでしょうが、悲しいというより、陶工たちのたくましさを感じるエピソードになったような気がします。

 茶の湯と結びつき、織部・志野・黄瀬戸などの桃山期の銘品の多くを産み出したのは瀬戸ではなく美濃が中心でした。瀬戸で陶器にたずさわるものとしては少し残念で悔しい部分もありますが、実際に美濃で桃山の茶陶の生産を行なっていたのは瀬戸から移った陶工たちが多かったと想像すると、ちょっと誇らしい気分にもなりますね。

2007/10/13

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