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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

070号 「志野」という話
2007/10/06発行
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瀬戸の中心を流れる瀬戸川には、いろいろな瀬戸物で飾り付けが施されています。
これは宮前から上流に上がった「東橋」。志野をテーマにしています。

 急に秋らしくなってきましたね。涼しくなったものの風邪をひいてしまいました。皆さんも体調の管理にお気をつけて秋をお楽しみください。

 さて、先週は岐阜県美術館で開催中の荒川豊藏の回顧展について書きました。志野の銘品を数見てから志野がとても気になるようになりました。

 志野という釉薬は長石を主とした調合が特徴です(長石釉)。長石というのは昔から使われる灰釉の調合でも使われます。灰というのは単身では溶けやすく流れやすいので、その調整(ブレーキ役)に長石が混ぜられます。(以前にも書きましたが)水簸した灰に長石を混ぜてやれば、ひとまず釉薬が出来ます。
その溶けにくい成分の長石が中心(長石単身)になる志野は本来溶けにくい釉薬です。志野を焼くために専用の窯を用意する作家さんもいます。普段使う窯に比べ倍くらい内壁に厚みを持たせた窯です。1300度近い温度を何時間も保持し続けることで、あの志野の持つ独特の釉の肌を作り出します。それだけ厚い壁を持つ窯はやはり特種用途の窯で、温度が上がるまでに時間がかかり、下がるのもまた時間がかかる‥‥普通に使うには燃料代のかかる効率の悪い窯になってしまいます。志野専用の窯を築いている作家さんは瀬戸でも少数と思います。

 別の方法として、ある程度灰を混ぜて溶けやすくした物もあります(灰志野)。これは調製次第でふつうの窯で他の釉薬と一緒に焼成もできるので、便利で扱いやすいでしょう。でもあのごてごてとした純白の志野とは風合が違ってきてしまいます。(歴史的には長石単身の志野より灰志野の方が時代が古いようです。)

 ところで「志野」というこの釉薬の名前、その由来は何でしょう。黄瀬戸や瀬戸黒などは色や産地からの名称です。織部は桃山の茶人・古田織部の「織部好み」のスタイルというのが由来です。
 志野も織部同様に志野宗信が作らせたのが由来という通説もあったようですが、宗信は室町時代の人で時代的にズレがあり、桃山に生まれた今の志野とは繋がらないようです。いろいろ調べてみましたが、志野の名前の由来ははっきりしません。


前川電光作の志野狛犬置物

 しかし、この「志野」という名前、そのままに読めば「野を志す」。荒々しくも温かみがある姿はまさしく野を志しているようで、志野茶碗の特徴を表した名と感じますね。

 ではまた来週。

2007/10/06


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