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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

069号 「岐阜県美術館〜荒川豊藏」という話
2007/09/29発行
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岐阜県美術館入口にて。志野そして桃山を範にした作品が多数展示。

 現在、岐阜県美術館で「緋色を求めて―志野にかけた半生 人間国宝 荒川豊藏」が開かれています。

■岐阜県美術館

■荒川豊藏展ホームページ

 荒川豊藏といえば志野を中心とした桃山期の美濃焼を再興させ、人間国宝の認定を受けた作家として知られています。今回はその回顧展となっています。瀬戸の話題ではありませんが、瀬戸ともつながりのある隣の産地・美濃と桃山陶器の話です。

 荒川豊藏の志野陶片の発見というものは当時の日本陶磁史を書き換える大事件でした。
桃山期の志野は瀬戸で作られ、美濃では生産されていないというのが当時の通説でした。ところが豊藏は桃山期の古志野筍絵筒茶碗の高台に着いた土(道具土)を見て志野が美濃で焼かれていたと推測、美濃周辺の古窯跡を調査、ついに先に見た茶碗と同じ陶片を可児市久々利大萱の古窯で発見、本来瀬戸で焼かれたとされていた桃山期の志野・黄瀬戸・織部などは美濃で作られていたことを証明した‥‥。昭和5年の話です。桃山の頃には瀬戸でほとんど焼き物が作られなかったというのは「瀬戸山離散」という瀬戸地方の歴史の謎となっています(「瀬戸山離散」についてはまた後日の「瀬戸だより」で‥‥)。

 今回の展示もその古志野筍絵筒茶碗からスタートしています。展示ケースの中で「高台に付着した土から‥‥」という解説とともに茶碗が置かれています。でも、普通に置かれていますから高台は見ることは出来ません(図録には高台部の写真もあります)。展示ケースの中に手を突っ込んで裏を見たい衝動にかられます(もちろんやってはいけません‥‥)。筍絵筒茶碗、そして発見された陶片や資料など、このあたりの展示は志野陶片の発見への興奮が伝わるような感じですね。
 しかし、高台にちょっと着いている土を見て美濃の作と直感するというのはすごいですね。粘土屋さんで土を買う事の多い現代ではなかなかそのような勘はなかなか働かないと思います。当時はよい土を求めて自らの足で各地を回って研究していたことが想像できますね。
 
 志野の展示から始まり黄瀬戸、織部黒など釉別に作品を紹介しています。
 以前この「瀬戸だより(017号)」で「茶道具は作者や茶人などによって箱書きされた箱があるはず。美術館でなぜ一緒に展示しないのか?」というようなことを書きましたが、今回は木箱なども一部展示してありました。「黄瀬戸花入 銘 白鷺城」の横に置かれた木箱には草花とその花入の絵が描かれ箱自体も作品となっています。「志野茶碗 銘 里帰り」には丸太をくり抜いたユニークな箱もありました。

 今回は荒川豊藏の陶器作品のみでなく、その作品を囲むようにスケッチなどの資料や(豊藏の目指した)桃山の古陶器、親交のあった当時の芸術家たちとの共作など、作家・荒川豊藏自体を回顧できる展示になっています。作品に添えられた解説カードも簡潔かつ製作の裏側までわかるすばらしいものでした。

 陶器を作る人も、楽しむ人も、使う人も、何か心に響くものを感じる展示と思います。お薦めです。


岐阜県美術館は岐阜市宇佐。瀬戸からはちょっと時間がかかりました。

 岐阜美術館では11月4日日曜日までの展示。その後、岡山県立美術館(平成20年1月16日〜2月24日)、茨城県陶芸美術館(平成20年4月19日〜6月22日)と巡回します。お近くの方はぜひ!

 そういえば荒川豊藏も北大路魯山人の星岡窯で製作していた時期があるそうです。いかに魯山人のもとに当時の腕利きの陶工たちが全国から集められていたかわかりますね。

2007/09/29


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