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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

068号 「染付と呉須」という話
2007/09/22発行
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加藤五山作染付湯呑

 今年は「磁祖民吉九州修業200年」ということで先日のせともの祭を始め、瀬戸では磁器の企画展が多いようです。 民吉によって九州から磁器製法が伝えられてから、質の高い製品を生み出してきています。

 瀬戸の磁器といえば、有田のような色絵ではなく呉須のみで描かれた染付となります。
「瀬戸染付焼」は現在でも赤津焼とともに経済産業大臣によって指定される「伝統的工芸品」のひとつとなっています。

 瀬戸は九州のように「陶石(磁器土の原料)」を産出しない土地です。しかし、瀬戸の土が鉄分を含まない真っ白な特徴であったため代用が可能でした。近世になり染付が作られ始めた頃は陶器の素地(陶胎)に染付をしていました。その後、土をブレンドするなど工夫を重ね独自の磁器土を完成させていったようです。そのため可塑性があり、皿や壷だけでなくいろいろな形の製品が作られ、複雑な形の置物なども多く作られています。
今でも瀬戸でよく使われるきめの細かな貫入土は使い方や釉薬によって陶器風にも磁器風にも利用できます。

 最近では陶芸教室や作陶の体験コーナーなどが各地で催されることも多く、染付の体験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
なかなか最近では筆を使う機会というのはあまりありません。書道など文字はともかく、筆で絵を描く経験というのはほとんどないのではないでしょうか。その上、紙に筆を走らせるのと違い、陶磁器の素地は水の吸い込み方、筆の引っかかり方など全く感覚が違います。
 呉須はコバルトを主とした顔料です。その濃度の調節には昔からお茶を使っています。お茶のタンニンが呉須に含まれる鉄分と結びつき、呉須の発色を良くするそうです。現在の化学的に合成されている呉須ではなく昔の天然の呉須には多くの鉄分を含んでいたようです。
 以前、瀬戸在住の画家の方で呉須を使って作品を作られた方が「呉須の濃度がわかるまでずいぶん時間がかかった」と言われたそうです。呉須の濃度はわかりにくいものです。
濃く描き過ぎると焼き上がった時に、表面の釉をはじいたような感じになってしまいます。薄いと淡い発色になり、濃淡で表現できる幅が大きい分、濃度の調整はむずかしいものです。また、顔料自体が重いので、よくかき混ぜながら作業をしなければすぐ沈んでしまいます。さらに薄めた呉須を広い面に広げていったり濃淡をつける「だみ」の技法を施したりすることも考えると、大きな皿など計算通りの濃さで全体を描き上げていく作業は想像以上に熟練した技が必要となってきます。


染付は呉須の濃淡の美しさが魅力と思います。
(加藤五山作梅染付茶器揃の湯呑)

 瀬戸蔵に常設展示してあるような人の背丈よりも大きな染付の壷などは江戸末期から明治ごろに瀬戸でつくられた物です。全体に緻密にされた美しい染付。染付の技術だけでなく、大きな形を形成する技術、そしてそれを歪まず焼き上げる焼成の技術。当時の瀬戸の技術力の高さが伝わってきます。たくさんの瀬戸染付が海を越えて輸出されていきました。

2007/09/22


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