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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

059号 「給食の食器」という話
2007/07/21発行
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現在の学校給食。昔と比べると見た目からおいしそうです。
器もきれいです。

 先日の休日、北名古屋市にある歴史民俗資料館に行ってきました。
ここは昭和30年台から40年台に日々の生活の中で使われていたいろいろな物を集めて展示をしている施設です。洗濯機や白黒テレビ、雑誌やレコード、瓶や缶や箱などに至るまで、懐かしい昭和の資料が展示ケースの中で、そして当時の商店や家を再現した中にと、楽しんで見られるよう工夫されています。この地方では、時々新聞などでその展示が紹介される事もあるのでご存知の方も多いと思います。

 その中で学用品などと並んで、懐かしいアルミの給食食器が展示されていました。私も小中学校に通っていた昭和40年台後半から50年台にかけてお世話になった食器です。熱いスープなどが入ると食器も熱くなり縁のところをつまむようにして持たなくてはいけませんでした。当時の子どもたちは(私たちのことです)、食器の持ち方が悪いとか、食べる姿勢が悪いとかよく言われたものです。
 時代も変わって給食もずいぶん様変わりしてきています。今の子どもの給食の献立表を見てもいろいろな国のメニューが並んだりと、楽しくおいしい給食になっているようです。昔のように嫌いなものがのどを通らず、残されて食べさせられるということもないようです。
 こんなに質が高くなってきた給食。もちろん食器もよくなってきて、最近では「強化磁器」の食器の採用も増えているようです。いくらおいしい献立でも、あのアルミの器ではおいしさは半減してしまいますからね‥‥。

 この強化磁器、とにかく割れない不思議な焼きものです。
 私たちが使う焼きものには大きく分けて「陶器」と「磁器」とがあります。それぞれ「土物」、「石物」などと言われるように、陶器は土を、磁器は細かく砕いた石を原料に作られます。窯で焼かれる時も磁器の方がより高い温度で焼成されています。一般に陶器は柔らかく、磁器は固いというイメージでしょう。その固い磁器をさらに工夫して、丈夫にしたものが「強化磁器」と言われるものです。
 磁器の素地にアルミナを多く添加して、高温で焼き上げることによりこの強さは作られているそうです。「アルミナ」とは酸化アルミニウムのことで、一般の陶磁器の釉薬などの原料にも使われています。陶芸をされる方には窯を焼成する時、品物が棚板に付くことを防ぐために棚板に塗ったりと、いろいろお馴染みの素材でしょうか。そのアルミナを多く含むせいか、通常の磁器よりも白さも際立っているように感じます。


以前にお客さんからご注文をいただき強化磁器で作った湯のみ。
やはり丈夫です。

 この強化磁器、想像以上に丈夫です。床に落としたくらいでは割れることはありません(もちろん磁器ですから絶対割れないというわけではないですけどね‥‥)。業者の中には「普通の磁器とは違って、割れないから補充の追加注文がない」ことを心配する方もいるとか。普通の磁器より薄く軽く作ることもでき給食や業務用の食器として理想的ですね。価格は通常の磁器より割高ですが、割れず長く使えることを考えれば十分に元は取れるでしょう。

 さて、北名古屋市歴史民俗資料館の帰りにすぐ近くのファミリーレストランに寄りました。和定食を頼むと、この強化磁器の食器が登場してきました。「和」を意識してか織部風のグリーンが塗られ、筆で描いたような鉄絵風の線がプリントされていました。輝くように白い素地に何か不釣り合いな印象。磁器は磁器、無理に陶器を真似たデザインにすることはないのにと思いつつ、おいしくいただきました。
器の素材にも適材適所があるということですね。

2007/07/21


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