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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

057号 「せとものの底」という話
2007/07/07発行
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 せとものを見るときに裏返してみる事があります。裏から見る事で何がわかるのでしょうか?

 陶器の下、テーブルなどに接するところ、高台(こうだい)と呼ばれる張った部分があります。丸いことが多いですが、もちろん四角い形の物もあります。足という形で3点くらいで支えている事もあります。また、全く平らで出っ張りのない事もあります。
 (例外はありますが)普通、この高台には釉薬が付けられていない部分があります。焼成のとき、窯の棚板に接する部分ですから、製品がくっ付いてしまわないようにこの部分には施釉しないか釉薬を拭き取るかしてあります。この部分を見ると、釉薬のかかっていない土(素地)本来の姿がわかります。土の細かさや鉄分の量、石の粒などが含まれているかなど、いろいろな事がわかります。骨董の目利きの方などは、ここを見るだけで土の産地・種類なども類推する事ができます。現在では全国どこでも各地の土が入手可能になっていますが、古い陶器は必ずその土地の土を使っています。

 また、抹茶茶碗などはこの高台の形も鑑賞の上で重要になってきます。茶席などで茶碗を見るときには必ずひっくり返して楽しみます。「この形の茶碗にはこの形の高台」というような約束事もあったりします。


(例えば安南写しの茶碗には高くて大きな高台が基本。)


全体の形はいいけど高台が弱いとか、雑になっているとか高台一つで茶碗の評価・価値は変わります。実際、茶道具を長年研究・製作されている作家さんの高台は美しく感じます。木や竹のへらで削りだしていく事が多いのですが、その削り方が迷いなく削られています。茶碗など茶道具は高価ですが、やはり作り手の技術・経験で出来上がりは大きく違ってきます。

 陶器の底でロクロから糸で切り離したままで仕上げの削りをせず、その痕をそのまま残している物があります。「糸底」などと呼んでいます。ロクロから切り離すには「しっぴき」と呼ぶ木切れに短い糸を付けた道具をつかっています。ロクロで成型した品物の下にその短い糸を当てると、糸はロクロの回転に合わせて土に巻きつきます。そしてタイミングよく糸を引けば品物はロクロから離れます。その断面は同心円状の独特の文様となります。


(しっぴきで切ったままの底。
ちょっと見にくいですが、糸の跡がわかりますか?)

糸の長さや太さ、回転や引き方によって微妙にその文様は変わります。
瀬戸の古い窯跡から発掘される山茶碗などもこの糸底のものが見られます。特にあとの仕上げ(削り)をしないということで量産が目的だったかと思います。ただ、糸で切っただけで底の厚さを一定にそろえ仕上げるこの技法、ロクロの経験がある方はお分かりと思いますが、とても高度な技術です。昔の職人の技術の高さが茶碗の底を通して、現代まで伝わるのです。

 さて、日常私たちが使う器にももちろん高台はあります。
よく陶器の手入れの初歩として、「高台がざらついているものはテーブルを傷付けるので、サンドペーパーできれいにする」ということがあります。現在、お店で普通に売られている陶器についてはメーカー・問屋が非常に気を付けて出荷していますので、高台がざらつくなんて事はあまりないと思います。ただ、イベントなどで個人作家などから買い求められた食器などは、使用前に一度チェックしてみたほうがいいかと思います。また土味を活かした器はどうしてもざらつきがちですから、テーブルの上で引きずるような使い方は避けたほうがいいですね。

2007/07/07


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