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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

056号 「魯山人の器」という話
2007/06/30発行
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少し奥まった場所にある瀬戸市美術館。
でっかいバナーが目印でした。

 現在、瀬戸市美術館では世田谷美術館所蔵・塩田コレクション「北大路魯山人」展が開催されています(7月8日まで)。

 北大路魯山人と言うと書家であり篆刻家であり、そして陶芸の分野でも活躍した人物‥‥ですが稀代の「美食家」としてグルメブーム以降は知られていると思います。そもそも魯山人の陶芸は自身の美食倶楽部「星岡茶寮」で使う食器を作るために始められたというのは有名な話です。
 もともと芸術家であったとはいえ、書家にロクロをはじめ釉薬・焼成の技術や知識があったわけはなく、全国から腕利きの陶工・職人が鎌倉に集められています。もちろん、瀬戸からも何人もの陶工が魯山人の工房に雇われています。当時としては破格の給料だったという話も聞いた事がありますね。

 今回も実用として、料理を飾っていた器が展示の中心です。その時代以降の和食器は何かしらの魯山人影響を受けているものが(現代でも)少なくはないでしょう。
 展示ケースの中に並べられた一つ一つの器は、陶芸作家の「作品」ではなく、あくまでも「器・食器」としての魅力であふれていました。

 会場もさほど広くなく、展示品の数も多いとはいえませんが、逆に一点一点をじっくりと見ることができました。織部、志野、染付、色絵など多岐にわたる器が「何気なくすごい」のです。文様や装飾が派手に主張するのではなく、それでいて見ているものを引き込んでいく魅力。やはり魯山人の器は噂どおりの(想像以上の)すばらしいものでした。

 陶器を見るとき、人によって見方・興味は違うと思います。魯山人の器は誰が見てもそれぞれの見方で楽しめると思います。でも、一番楽しく見られるのは料理人の方かもしれません。魯山人に近い視点から、いろいろに料理を盛り付ける事を想像しながら見ることができるでしょうから。
 二階展示室の奥には、写真家・秋元茂さん撮影の「実際に魯山人の器に料理を盛り付けた写真」が何点も展示してあります。器の魅力にプラス、料理の見事さ、撮影のすばらしさで、見ているだけでよだれの出そうな写真です。
料理がのって完成形となる魯山人の器の世界がよくわかります。

 この会場の瀬戸市美術館ですが、以前は瀬戸市文化センターの「美術展示ホール」という名称でした。それが万博開催の時に「瀬戸市美術館」という名称に変わりました。当時はその名称変更を瀬戸市民ですら知らないという事が多かった‥‥。私もお客さんから「瀬戸市美術館に行きたい」と訪ねられ「聞いた事がない」と答えた記憶があります。あまり大きな美術館ではありません。


瀬戸市美術館の入口。
もともとは瀬戸市文化センター美術展示ホール。

 今回の「北大路魯山人展」は「平成19年度市町村立美術館活性化事業 第8回共同巡回展」という文字がポスターなどに記されています。これは全国の小規模な市町村立美術館を共通の企画で巡回展示しようというものです。なかなかすばらしい試みと思います。
今回の展示も岡山・笠岡市立竹喬美術館、福岡・田川市美術館、埼玉・川越美術館と場所を変えながら12月まで各地を巡回するとの事です。お近くに巡回してきたらぜひご覧いただくことをお薦めします。

2007/06/30


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