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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

053号 「白い川の白い町」という話
2007/06/09発行
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瀬戸川の両側にそれぞれ一方通行の道が走ります。
瀬戸の古くからのメインストリート。

 先日、本棚を整理していたら「白い川の白い町」という本が出てきました。
小学校の頃に買った本です(山口裕一・作 アリス館牧新社・発行)。1975年(昭和50年)の出版で当時は読書感想文全国コンクールの課題図書に選ばれていて、それを示す銀色のシールが表紙に輝いています。同世代の方は読んだ記憶があるかもしれませんね。
以前の「瀬戸だより」042号でも白い川・瀬戸川の話は書きました。本当に瀬戸川を白くしていたのは何だったのか‥‥という話です。

 昭和46年頃の瀬戸を舞台にした物語です。当然、タイトルのとおり瀬戸の中心を流れる瀬戸川が真っ白だった時代です。
 東京から瀬戸の隣、春日井市の高蔵寺ニュータウンに引っ越してきた小学生のアキラが真っ白な水が流れる川・瀬戸川に興味を持ち、クラスメイトや先生、家族とともに瀬戸川がなぜ白いのかを調査推理して真実を見つけるというストーリーです。
 最初は陶器工場の廃水が原因ではないかと考えるものの、実際に見学に行くと工場からは白い水は流れていない。粘土を掘る山から流れ出ているのではないかと想像するが、他の陶器産地では川は白くなく、また陶器とは関係ない土地でも白い川が流れているのを見つけたりと、なかなか本当の「犯人」を発見できません。
しかし、最後に瀬戸の珪砂工場にたどりつきます。
そして、珪砂工場の廃水が川を白くして、珪砂を運ぶダンプが落とす珪砂で町が白くなるほどだという事実を見つけます。

 以下、「白い川の白い町」より、採掘場での陶芸家の加藤さんの会話部分を抜粋・引用します。

 「なにしろね、全国の珪砂の80%は、この瀬戸で生産しているのです」
 (略)
 「何で瀬戸でこんなに珪砂が掘られるようになったかわかりますか。」
 (略)
 「ベトナム戦争のせいなんですよ。」
 (略)
 「珪砂はガラスの原料なんです。それに、製鉄の溶鉱炉なんかで使う、耐火レンガの原料でもあるんです。両方とも、今の高度経済成長にとっては、かかすことのできない原料なんですね。むかしは、それを、ほとんどベトナムのカムラン湾というところから輸入していた。ところが、そのカムラン湾に米軍が陣地を築きましてね。そこの湾からとれていた良質の白い砂を、輸入することができなくなった。それでも、高度経済成長をとめるわけにはいかないというので、ここを、こんなに掘ってしまったんです。そういう意味では、今、日本の各地でおこっている公害と、同じことなんですよ。」

 この本の中にも書かれていますが、瀬戸=陶磁器の町ということでどうしても瀬戸川の白さは陶器作りと結び付けて考えがちです。実際当時は「瀬戸川の白さは瀬戸(の産業)の繁栄の印」という考え方だった思います。本当のところは粘土や陶器という「せともの」より珪砂に原因があったということです。
 今でも珪砂の採掘は瀬戸で行なわれています。珪砂工場も存在します。今の瀬戸川が白くなくなって、普通の川に戻ってきたのは、公害が大きな社会問題になって工場も廃水などに注意を払うようになったということなのでしょう。
‥‥しかし、ベトナム戦争は瀬戸川の白さまでに影響していたのか‥‥。

 ベトナム・カムランは最近ではカムラン空港もオープンし、ビーチリゾートとしても注目されている場所になっています。カムラン湾の砂(珪砂)は今も有名なようですね。

 この「白い川の白い町」という本は絶版になっているようですが、図書館やインターネットの古書店では見つけることができるかと思います。
子どもの頃は字を追うことが精一杯でしたが、今読み直すといろいろな発見がありますね。瀬戸・瀬戸川に興味がある方は探してみてはいかがでしょう。

2007/06/09


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