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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

040号 「贅沢なトイレ」という話
2007/03/10発行
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瀬戸蔵内のポスター。

 今、瀬戸・瀬戸蔵ミュージアム内で企画展「厠の美・もうひとつの花鳥風月」という展示が行なわれています(4月22日日曜まで)。厠というのはご存知のとおり便所、トイレのことです。
 トイレの便器は和式でも洋式でも陶器製のものがほとんどです。今でこそ便器の生産というと常滑などの産地がうかびますが、戦前は瀬戸も多くの便器を生産していたようです。そういえば瀬戸蔵ミュージアムの中にも便器の型が資料として展示されていましたね。
 今回の展示は瀬戸で生産されていた便器、とくに染付で装飾されたゴージャスなものが並んでいます。(下記リンク先、瀬戸蔵ミュージアムの企画展情報に染付便器画像1点あります)

 便器のような実用品(本当に実用品中の実用品です)にとても繊細な染付で花鳥風月がほどこされています。さすがに大量に売れたものではなく、当時でもかなり高級品であったようです。

 以前知人がどこかで拾ってきた(使っていた)ものを家に飾っていたのを思い出しました。大の方ものはともかく、小便用の朝顔型のものはその形といい大きさといい、花器として使用してもいいようなものです。

 なぜ便器にここまでの装飾をしたのでしょうか?
 明治以前は木製が多かった便器が陶器製に変わっていきました。想像すると陶磁器製の便器というのは、新しい時代を象徴する最先端のものだったのでしょう。今の時代に「今度、トイレをリフォームしてシャワー付きのヤツに換えたよ、最新式の‥‥」なんて言うように、明治の人たちも「便所の修理の時に陶器のヤツに換えたよ、染付の豪華なのに‥‥」なんて話していたかもしれません。時代の最先端をいく高価なものだったので、陶工たちの興味をひき「いい仕事」をさせたのでしょう。
 それと便所と言うと不潔なイメージがあり、また昔は屋外にあったり、夜は暗かったりしたものです。そんな空間におかれる便器と言うものを、華やかな装飾で思いっきり明るくしてやろうという陶工たちの心意気のようなものがあったのかもしれませんね。

 実際にどんな形で染付トイレが使われていたかというのは、瀬戸市・窯垣の小径資料館に当時のままのトイレが「展示」してあります。染付のトイレは「展示」ですから利用は出来ません(別にトイレはあります)。でも、もし使っていいと言われても、たぶんもったいなくて、とてもそこで用を足す気なんかにはなれないとおもいますよ。
ここでは同じく瀬戸で昔作られていた「本業タイル」が贅沢に使われた浴室も必見です。


窯垣の小径資料館にある昔の染付便器。現在は展示のみで使えません。
(2007/11/12画像を追加)

 こんな素敵な染付便器をいつも見ていて思うのですが、現代の洋式トイレにも染付などの装飾で飾ったものがあってもいいのではないでしょうか。現代のトイレは水道管との取り付けなど工業的な規格も多いので、個人が形から創作していくということはむずかしいでしょうから、例えば染付作家とトイレメーカーとのコラボレーションや焼成前の便器の素地の提供とかそんなことをしても面白いだろうと想像しますが、トイレメーカーさんいかがですか?

2007/03/10


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 ■追記■2007/03/15
 
瀬戸蔵のトイレで見つけた染付の手洗い。これは今の時代のものですが、なかなか見事です。
そういえば愛・地球博の会場にも市民のデザインしたこんな感じの手洗い場がいくつかありましたね。

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