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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

039号 「熱電対が狙われているらしい」という話
2007/03/03発行
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熱電対と古いメーター。
熱電対は以前使っていた「おもちゃのような窯」についていた超小型のもの。
メーターの方はかなり古いものと思います。木製のケースが立派です。
「精密級多点切換指示計」と書かれたプレートがついています。
ダイヤルの切換でこれ1台で6ケ所の熱電対に対応します。

 最近、銅製の電線やステンレス製の側溝の蓋などの盗難が増加しているというニュースはご存知でしょうか?金属類の高騰を背景に、こうして盗んで転売しているらしい‥‥。悪いやつがいるものです。

 瀬戸で発行されている「日刊 とうめい」新聞の記事(2月19日付)、並びに中日新聞(3月1日付)によると、最近美濃や瀬戸の陶磁器工場から「熱電対(ねつでんつい)」の盗難が相次いでいるとのことです。
 「熱電対って何?」という方も多いと思います。今回はこの「熱電対」の話‥‥。
(「熱電対」は「熱伝対」とも書くようです。今回の新聞記事もとうめい新聞は「熱伝対」、中日新聞は「熱電対」と記しています。)

 陶磁器は素地に釉薬を施して、窯で1200度以上の高温で焼かれます。その時、窯の温度はどのようにして計るのでしょうか。 もちろん、ふつうのアルコールや水銀の温度計では無理です。

 ゼーゲルコーンというものも使ったりします。これはある温度に達すると溶融する三角錐を窯の中にセットして、そのコーンが倒れ方で炉内の温度を判断するというものです(ゼーゲルコーンについてはまたいつか書きますね)。

 昔の窯焼きの職人さんたちは、経験から窯の火の色や煙りなどを見て判断していたといいます。まさに職人の勘というやつです。

 現在、高温になる窯の温度を計るために一般的に使われているのが、この「熱電対」というものです。
窯を見る機会があれば、窯の外側からコードで繋がれた「棒」のようなものが刺さっているのを探してみてください。そして窯の中をのぞくと、刺さっている棒の先っぽが顔を出しているはずです。この「棒」が熱電対です。
熱電対から出るコードの先には温度計の表示部分(メーター)がついています。物理のことはまったく苦手ですのでよくわかりませんが、熱起電力という電位差を利用して窯の中の温度を表示します。ですから、メーター本体も最近はデジタル表示などの物もありますが、古いものは「電流計そのもの」のような形をしていますね。

 さて、その棒のような熱電対ですが、素焼のさや(カバー)の中には、マイナスとプラスの両極に白金、白金とロジウムの合金がそれぞれ繋げられています(一般的な焼成用熱電対の場合)。白金‥‥つまりプラチナですね。何気なく窯に刺さっている棒の中にはあの「プラチナ」が入っているんですね。「ロジウム」も高価な金属です。ですから値段も1本4万円から5万円、大きなものでは10万円もするものもあるようです。窯本体をのぞけば一番高価な窯道具といってもいいですね。

 岐阜の美濃地方の陶器産地でその熱電対の盗難が増えているという話は以前から聞いていましたが、最近は瀬戸でも相次いで盗まれているということです。小さな窯でも必ず1本、大きな窯なら2本3本‥‥と使っています。その上、先々週の「瀬戸だより」でも書きましたが、昔から窯は屋根だけとか隙間だらけの場所にありますから、盗む側からも都合がいいのでしょう。

 犯人が早く捕まることを祈ります。また、窯をお持ちの方は「熱電対」のしっかりとした管理をしましょう。

2007/03/03


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