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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

029号 「窯が酔う」という話
2006/12/23発行
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うちに昔からある手水鉢。
銅の赤とグリーンが不思議な発色をしています。

 メリークリスマス!!もう今年もあとわずかですね。
この季節は忘年会やクリスマスパーティなどお酒を飲む機会も多いですね。酔っぱらって思わぬ失敗をしてしまった‥‥なんていう経験は誰にでもある(?)と思います。悪酔いしないように気をつけましょう。まして、飲酒運転は絶対に止めましょう。

 さて、「窯が酔う」という言葉があります。
窯が酔う、酔っぱらっちゃう…窯も酒を飲むのか?!知らない人ならば、いったい何のことかと思われることでしょう。

 一言で窯を焼くといっても、焼き方には大きく分けて酸化焼成(織部や黄瀬戸などはこの焼成ですね)と還元焼成(染付とかの真っ白な磁器や辰紗などですね)があります。陶芸を趣味としている方にはもうおなじみと思います。
 窯を焼く時はその釉薬にあわせて、窯に入る酸素の量を調節するなどして窯の内部を酸化・還元の雰囲気を作るわけです。ところが窯の内部の空気の流れやいろいろな条件で酸化で焼いているはずなのに一部還元がかかってしまったり、逆に還元で焼いているのに酸化で焼けてしまった部分ができたりすることがあります。こんな窯の中の雰囲気が不安定になった状態を「窯が酔う」と言っています。
( 一つの窯の中であっても還元がかかりやすい部分や温度の低い場所高い場所など、いろいろな癖もあります。)
 織部は通常酸化で焼いておなじみの濃いグリーンになりますが、還元で焼けば同じ銅の釉薬である赤い辰紗のような赤い色合いが現れます。銅は酸化すると(錆びると名古屋城の屋根のように)グリーンになり、還元されると本来の赤銅色の赤が出てくると考えるとわかりやすいかと思います。
 窯が酔った状態になると、一つの品物の上で釉薬がいろいろな発色をすることとなります。たとえば織部の花瓶の一部だけが還元がかかり赤く発色したりするわけです。
これは全く計算外の結果なわけで、本来ならば失敗ということですが、意外とそれがいい景色になり面白い作品となります。いわゆる「窯変」として楽しまれるわけです。

 今のようなコントロールしやすくなった窯でもたまには起きます。昔の古く大きな窯だったらより起きやすかったでしょうね。しかし、あくまでこれは偶然の結果であり、再度同じ焼き方を…とお願いしてももちろん無理なわけです。
 窯を焼くことの難しさと陶芸の深さを感じますね。

2006/12/23


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