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 瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜

017号 「箱書きの楽しみ」という話
2006/09/30発行
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手元にあった箱書。上ふたつは来春の御題茶碗の箱です。

 先週末は「来る福招き猫祭りin瀬戸」ということでたくさんの方が瀬戸を訪れたようです。作り手もお客さんも、猫好きが集合したようで楽しいイベントでした。
 今回は木箱の箱書きについての話です。普段から木箱だけわけて欲しいというお客さんの要望は意外とは多いのです。ホームページの方でもそのあたりについて考えて行きたいと思います。もう少しお待ちください。

 抹茶茶碗、ぐい呑、花瓶、菓子器、銘々皿など当店でも通常木箱入りで販売している商品も多数あります。木箱の材料も以前はモミ材が主でしたが、最近では輸入のキリ材を使ったものになってきました。桐箱といえばとても高価なイメージだったのですが(もちろん国産の良質な桐はとても高価です)、今はほぼ100%この輸入材の桐箱でお届けしています。

 木箱には箱書がされていますが、一部を除き基本的には作られた作家さんご本人に箱書をしていただいています。実はこの箱書というのがとても楽しいものです。作家さんそれぞれの個性がそれぞれの箱書に出てくるのです。無骨であったり、流麗であったり、ただひたすら個性的であったりと見ていて飽きません。以前、「作家の箱書は上手なことよりも、下手でも個性的な方がおもしろい」ということをどこかで聞いたことがありますが、まさにその通りと思いますね。そしてその文字はその作家さんの作風とどこか通じ合うものがあって、箱に書かれた文字と作品とを比べてみるというのも、一つの陶器の鑑賞の仕方・楽しみ方と思います。
 長い期間、作陶を続ける作家はもちろん時代時代によって箱書に変化がありますし、使っている印の違いによっていつ頃の作品なのか知る手がかりになったりします。また、「数を作った品物」と「一点ものの作品」とでは箱書の仕方や使う印も変えていることもよくあります。同じ作家でも箱書を比較することでいろいろなことがわかるわけですね。
 また、よくテレビの骨董の鑑定番組とかで、「この箱書がいいですね」とか「もともとの箱が残っていたら、さらに高い評価ができるのですが…」などのセリフを聞きます。名器といわれる茶碗などには、作家の箱書ではなくそれに銘を与えた茶人や持主の箱書がされていて、それによって器の価値は非常にあがります。
落語に「はてなの茶碗」という噺がありますが、茶碗に付けられた「銘」というものは重要です。作家自身の文字や「銘」が書かれた箱は、単なる収納の道具ではなく、その器自身の歴史を語り、価値を増すものであり、品物自体と切り離せないものとなっています。

 そこでいつも不思議に思っていることがあります。美術館の展示で箱書の展示を見たことがあまりないということです。特に茶道具などでは箱・箱書は重要と思うのですが、全く無いということはありませんが、なかなか箱を見る機会には出会えません。陶器と違って痛みやすいなど保存上の問題や、限られた展示スペースの中では箱までの展示というのはむずかしいと思います。でも、美術館での箱書と作品のセット展示、絶対おもしろいと思いますよ。昔の茶人や作家たちの「書」を楽しむという観点から、箱書を主役にした企画展というのもいいと思います。
学芸員の方いかがですか?

2006/09/30


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